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映画「暗殺教室」 の感想 [暗殺教室]

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客層が違うっ。やはりジャニーズの力は偉大なり。やはり女性客の割合が多い。


原作派から観た映画「暗殺教室」の感想です。なので分類は「コミック」に。

マンガ原作の実写映画を見に行くのは初めて。
感想としては、作中の台詞を引用して、

「よくぞ・・・・ここまで・・・・」

原作ファンの立場として、「実写映画にしては」面白いと思う。そして、監督や脚本、役者から「作品愛」を感じる。今まで数々の漫画原作の実写モノが使い捨てられてきたが、これはそうならないであろう・・・と願う。

「漂流教室」「デビルマン」など、多くの素晴らしい漫画が芸能事務所の踏み台にされてきたから。
手塚治虫の「MW-ムウ-」もとんだ駄作だった。もったいなさすぎる。




レビューや評価でたびたび書かれていることだが、ストーリー展開は詰め込み過ぎでほぼ「ダイジェスト」「原作の寄せ集め」。



決定的に欠けているのは心理描写で、これが省略されていると原作を読んでいない人には少々わかりにくいんじゃないかと思われる。殺せんせーと生徒の、あるいは生徒同士の間の機微とか。暗殺側の総監督である烏間先生とターゲットである殺せんせーの緊張感なども伝わってこないんじゃないかな。クライマックスは、けっこう伏線が上手く張られているのはいいと思うけれども展開そのものには説得力がなく(無駄に長い鉄塔シーンなど)、流れで押し切っている感じもある。



ラストは消化不良のまま終わってしまう。一瞬、茅野カエデの触手をチラ見せしたり、原作ファンにはわかる匂わせぶりな態度など続編を期待させる終わり方だが、明確な発表はない。原作もまだ終わっておらず、これから佳境を迎えるところである。原作を読んでいない人にはどう映るのか、気になるところだ。ジャニーズのファンなら「山田クンかっこよかったね~」で済むだろうが、一般的な映画として考えると中途半端過ぎるだろう。



とはいえ、原作の濃い内容や描写を2時間に切り詰めて辻褄を合わせたのはすごい。もう少し工夫の余地や予算があれば・・・!と考えてしまうほどなので、そういう意味でも出来は良い。昨今の実写映画ではほとんどが原作を一瞥する程度で演じるであろうと思われる中、製作側や俳優もそのあたりをしっかり読み込んできたと感じられたので「作品愛」によるものが大きいと思った。


原作の濃い内容とは、前作「魔人探偵脳噛ネウロ」を御存じの読者なら察しがつくが、ブラックな皮肉、ややもすればグロい表現、シリアスな展開を、今回はタコ型の「殺せんせー」に代表されるように明るくコミカルな表現で描いているのが特徴。生徒たちは「暗殺」という、思わず眉をひそめてしまうな事に挑んでいるが、その暗殺の標的である先生が生徒たちに正しい方向を示すのがだいご味でもある。





さて、配役のこと。主演・Hey!Say!Jumpの山田涼介。他にも山本舞香、優希美青、橋本環奈など、このメンツ。適役かどうかより、謎の芸能事務所の力が働いた映画といえる(汗)。まぁ、今に始まったことではない。
東欧美女の殺し屋役になぜか韓国人である知英。そして、殺せんせー役の声優に嵐の二宮和也。それを考えても、良くできていた。さっき「作品愛」と書いたが、しっかり原作を読んでくれていた・・・・のか?
思い返すとちょっと自信がなくなってきた。

知英の役であるビッチ先生。桐谷美玲のバーターと云われる。その桐谷は回想シーンにちょっと登場する雪村あぐりを演じている。それはさておき、ビッチ先生に至って実に絶妙な采配。なんと途中までほとんど喋らない。さすがに片言の日本語はちょっと違和感があることを配慮してのことか。そしてエピソード省略もかねて、いきなり冒頭の回想シーンで登場し、そのまま英語教師におさまるという、たいへんアラの見えにくいようになっている。

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イリーナ・イェラヴィチ先生ことビッチ先生は、内戦の続く東欧出身。十か国語を操るハニートラップと潜入暗殺の達人。もちろんお色気担当で、茅野カエデの暴走を止めた渚のキステクニックを伝授した張本人である。・・・と原作のイメージが強すぎて、韓国人だから云々よりそもそも「アジア人」で演じることが無理なレベル。
まぁ、国際的に韓国といやぁロビー活動ではハ(略)が得意なので、ある意味「国技」でもあると思うと笑えない。


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主演の潮田渚を演じる山田涼介も、草食系→暗殺の才能(殺気・気配を隠す、本番に強い)の片鱗を見せると感じはよくできていたと思う。
ヒロインである茅野カエデ演じる山本舞花は先のブログにも書いているように、原作準拠であれば、前半最強の暗殺者(復讐・自爆型)として突如牙をむき、「もう頭が痛くないの!痛いのが気持ちイイの!」とちょっとアレな感じで暴走して殺せんせーを追い詰め、潮田渚のディープキスで不意を突かれて卒倒することになるのだが・・・・・・はたしてはたして演じることができるのであろうか?!

茅野カエデに対する期待はいやおうなく高まっている。下でも書いているが、高島政伸演じる鷹岡明はとても良かった。やはり「悪役」的存在が際立たないと・・・。
原作での茅野カエデの豹変と圧倒的攻撃力。その引き換えとして生命のカウントダウン。
ある意味、続編は山本舞花にかかっているのかもしれない。



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赤羽カルマ@菅野将暉は髪型がやや合っていなかったことと、おかしすぎるワイヤーアクション(崖から飛び降りる)は別として、原作さながらで上手かった。他の生徒もほとんどモブだったのが惜しい位、E組っぽさを出していた。
橋本環奈@律(自律固定砲台)は、演技経験の無さを考えれば無難な役。殺せんせーの教えを受けた後の演出である「あざとさ」はそれらしかったかな?


映画のオリジナルキャラもいたが、完全に空気である。
渚の幼馴染で今は別のクラスという設定だが、まったく必然性がない。
おそらく続編で理事長やA組・浅野学秀との抗争に絡んでくるとは思うのだが、ストーリー上の辻褄合わせの保険としか思えない。



最高なのは暴力教師・鷹岡明役の高島政伸。納得の仕上がり。はっきりいってストーリーと映画の方が追いついていないくらいのハマリ役。あの短いシーンで「比率9対1の飴と鞭」を信条とする異常性と、潮田渚によって自尊心を打ち砕かれたことによる人格崩壊の様の演技は見事。原作でもたいへん盛り上がったところなのでこれは良かった。ただ、復讐心にかられた鷹岡が再来し渚とふたたび対決するシーンは、尺の都合でほぼ改変されていたのが残念。

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ただ、原作の二回戦目は渚が「猫だまし」を使うので、それの習得シーンや伏線省略、実際の演技を考えると省いた方がアラが見えなくて良かったと思う。

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さて。原作では殺せんせーの正体は「死神」という伝説的な殺し屋であることが明かされた。しかもイケメン。あきらかに二宮和也を意識した感じで描かれている・・・・。これは続編が来るということを打ち合わせた上のことか?
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スラムで育ち、「人の命が安い」世界で生き延び人を殺して育ったイケメン殺し屋がどうしてタコ型生物になり、エロくてドジなところがあって器が小さくて世間体を気にして、慌てた時には「にゅやーーーーーっ!」などというようになってしまったのか。このあたりはこれから描かれていく訳だが、物語のキーパーソンのひとりである茅野カエデの姉・雪村あぐり(映画では桐谷美玲)と出会い、変わっていくか・・・今後の楽しみである。

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また、原作ではクラスメイトの一人ないし二人にスポットが当たる回があるのだが、映画ではどうしても省かれてしまう。もう少しスポットが当たって欲しい。

クラスメイトの中には家庭や親との問題を抱えている生徒も何人かいる。その中で潮田渚と母親の確執(呪縛)を描き、渚が自立(解放)と進路を見出していく名作回がある。これはぜひとも映画に反映してほしい。「二週目の自分」という母親の呪縛、自分の才能と将来、そういう悩みと決断をしっかりと演じきって欲しいものだ。


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面談のため、表向きの担任(烏間先生)にむりやり変装した殺せんせーの名台詞。



映画では尺の関係上仕方ないと思われていた個別回であるが、なんとアニメでも飛ばされてしまった。
すでに「前原回」が飛ばされて「イトナ編」の第一回目と、理事長との采配争いを描く「野球試合」の後、
いきなり「鷹岡編」になる。そして「リゾートホテル暗殺」がクライマックスになると思われる。
「闇落ちの鷹岡」(笑)や殺し屋ガストロなどが出てくるのは楽しみだが、個別回がなくなるのは面白くないな。

ちなみに「鷹岡回」は原作では4話構成なのを一話に縮めるのである。

個別回が映画やアニメでも見られないのが残念。
「片岡メグ回」(水泳の時間)では、何かと面倒見のよい片岡メグに共依存の恐ろしさを諭す「クズ殺せんせー」と行き掛かり上イケメグが扮する魚人「魚魚(うおうお)」。そしてクズキャラの多川心菜が観たかった。

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原作を軸に映画、アニメとそれぞれの方向で展開している。かといって、原作を著しく乖離することもなく、
NARUTOやワンピースのように商業主義展開に走ることもない。
(内容的・表現的にどうしてもメジャーに成り切れないし、またそうなるべきではない)
連載が終わる期限もあと1年ということで無理やりな延命措置によるストーリー破綻もなさそうである。



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